急増する若年失業、「失われた世代」に深い傷!

(2012年7月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

同じ街に住み、全く同じ経歴と資格を持ち、ちょうど経済危機が頂点に達した2009年に同じ学校を卒業した2人の若者を想像してほしい。ボブは幸運だった。すぐに仕事を見つけ、それ以来ずっと働いている。だが、ジョンは仕事を見つけるまで2年間失業していた。

今、ボブの方がジョンより多くの給料を得ているのは驚くには当たらない。だが、過去のデータは、2人が2020年代初めまでずっと仕事に就いていたとしても、ジョンはまだ、出遅れたことで受けた傷を負い続けていることを示している。30代前半になった時に、ジョンはボブより16%給料が少ない可能性が高いのだ。

ー世界各地で取り残される若者ー

若者の失業は重要な問題だ。先進国でも新興国でも、至るところで若者はかつてないほど取り残されている。しかも一度差が生じると、それがいつまでも続き、差を埋めるのが難しい傾向がある。

「正しい政策が実施されなければ、成長の観点から見た『失われた10年』のリスクがあるだけでなく、『失われた世代』のリスクもある」と、国際通貨基金(IMF)のネマト・シャフィク副専務理事は警告する。

だが、政策立案者もこの問題に気付いている。失業中の若者を支援することは、フランス大統領選で成功を収めたフランソワ・オランド氏の選挙戦のテーマだったし、欧州各地で政府が自国の労働慣行の見直しに取り組んできた。

しかし、今回の危機の規模を考えると、その結果取られる政策は、失われた世代を防ぐには不十分なのではないかと多くの人が心配している。そして、減速する世界経済は逆風を強める一方かもしれない。

統計は憂慮すべきものだ。危機に見舞われた欧州では、加盟国の大半が先進国である経済協力開発機構(OECD)が統計を取り始めて以来、25歳未満の失業率が最も高くなっている。ギリシャとスペインでは若者の2人に1人が失業しており、サウジアラビアとイタリアでは若年失業率が中高齢層の失業率の4倍に上っている。

OECDは、「景気が良い時なら仕事に就けたと思える人たちの間でさえ、かなりの割合の若者が長期の失業や職探しもしない状況に陥る大きな危険にさらされており、その割合も高まっている。これは、若者の生涯にわたるキャリアと生活を傷つける可能性が高い」と警告する。

確かに、いくつかの国では若年失業を減らすことに進展を見せている。例えば、ドイツでは、2007年に11%を超えていた若年失業率が今年5月には7.9%まで下がり、国全体の失業率5.6%より若干高い程度になった。フランスで行われた若年失業の傷痕に関する調査では、英国その他多くの国で一般に見られるほどの永続性は示していない。

そして日本では、1990年代に前の世代の後を追ってサラリーマンになることができなかった失われた世代の一部が、活力に満ちた新世紀の起業家になっている。

公式統計は誤解を招く恐れもある。仕事がなく苦しい生活を送っている25歳未満のスペイン人は、半分よりはるかに少ない。失業率は、労働市場に参加している人に対する失業者の割合を測るものだ。大学在学中の人は数に入らない。

全体の数字のうち、12%は失業中で、6%はニート(仕事もせず、学生でもなく、専門的技術も学んでいない)だ。公式統計に数えられる多くの部分は、就学期間中の人たちだ。

こうした注意点は、重要ではあるが、若年失業に関する警告を無効にするわけではない。短期的には、若年失業は政府の財政負担を増加させ、犯罪を増やし、社会の安定を脅かす。

ー数十年経っても残る影響ー

中期的な問題も増えている。雇用の見通しが立たない若者は、安定した家庭を築くのが遅れる。活動的で雇用の見通しが明るい若者はしばしば母国から移住する一方、自国にとどまる人は、得られる仕事に対しては自分の資格が過剰であることが多い。

長期的に見ると、長く失業に苦しむ人たちは、数十年後にもまだその影響を感じる可能性が高い。大学の学費を個人で支払う習慣が深く根づいている米国では、輝かしいキャリアと呼べない仕事を持つ人たちに、学生ローンの負担がつきまとう。また、卒業した人々が学生ローンを返済できなければ、将来、金融の安定を損なう恐れもある。

非常に多くのことが危機にさらされているため、多くの国では若年失業に対処する政策が有権者にとって重要な課題になっている。OECDその他の国際機関は教科書的な対応策を掲げている。経済全体で十分な需要を生み出し、特に25歳未満の若者を対象とした政策で補強するというやり方だ。

こうした政策は、現在の学生が卒業する時に本当のキャリアをスタートさせる機会を持てるようにすることを目指している。欧州各地では多くの若者が、企業に長期契約を提供するのをためらわせる政策で身動きが取れないように感じると話している。

そうした若者の1人が、28歳のパオロだ。2年前にミラノの大学を卒業し、それ以来ずっと短期の仕事を続けてきたが「新しい仕事を始めるたびにやる気になるけど、自分とは関係のない理由で会社が自分を雇い続けることがないと分かると、すぐにやる気が失せる」と言う。

ー世界的な実験ー

だが、政策文書でうまくいくことが、現場の政策として実践された時には、はるかに複雑になることはよくある。

フランスでは、オランド大統領の提唱する「世代間契約」が、若者を長期間雇用する企業に税優遇策を提供する。ポルトガルでは、景気後退によって若者が短期的に移住せざるを得なくなっている。アルジェリアでは、ささいな規制を激しく非難する若者が非現実的な野望を抱いていると政権側は言う。

このような様々な政府の対応は、巨大な世界的実験を作り出している。若者世代にとっては、多くのものが実験の成功にかかっている。

By Chris Giles

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35608

(以上、JBPRESSより。)

深刻な問題です・・。

私的には「企業家」の創出に力を入れるべきだと思っております。
就職口が少なければ、自ら起業して生活を確保していく方向を考えていかなければなりません。

起業の為の資金調達は、欧米の様な「エンジェル投資家」からの資金調達方法が良好ですが、日本では未だ未だ浸透していませんので政府も力を入れる必要が有ります。

日本国内には、少ないですが「ビジネス・マッチング・サイト」が有りますので、達成率は低いですがそう言ったサイトを利用するのも一手です。

エンジェル投資家 :

エンジェル投資家またはエンジェル(ヨーロッパにおいてはビジネスエンジェルと呼ばれている)は、創業間もない企業に対し資金を供給する富裕な個人のことである。
投資の見返りとして株式や転換社債を受け取ることが一般的である。エンジェル同士でグループを形成し、情報の共有や共同出資を行う動きも見られる。

エンジェルという用語は、英国で演劇事業に資金供給する富裕な個人を表現した言葉に由来する。
1978年、ニューハンプシャー大学の教授で、同大学ベンチャーリサーチセンター創設者のウィリアム・ウェッテルが、創業間もない企業に投資する個人を表現する言葉として“エンジェル”を使用し始めた。
自らが所有する資金を投資するという点で、他社が出資した資金を投資するベンチャーキャピタルとは異なる。
投資判断は個々人の判断に帰するが、実際に投資対象となっているのは信託や有限責任会社、投資ファンドなどである。

エンジェル投資家は、家族・親類・友人とベンチャーキャピタルの間に存在する資金供給の隙間を埋める役割を果たしている。
友人や家族から1,000万円以上の資金を調達することは一般的には難しい。
その一方で、伝統的なベンチャーキャピタルは1〜2億円以下の投資を検討することはない。
そのため、エンジェル投資家は急成長するスタートアップ企業に対する第二段階の資金供給者となりうる。
2006年の米国の統計によると、投資総額ではエンジェル投資家が256億米ドルに対してベンチャーキャピタルが261億米ドルとほぼ同額だったが、投資企業数ではエンジェル投資家が51,000社に対してベンチャーキャピタルが3,522社と10倍以上の差が見られる。
エンジェル投資家の投資に占める割合が多いセクターはヘルスケアと医療機器が21パーセント、続いてソフトウェアとバイオテクノロジーが18パーセントとなっている。
エンジェル投資家は極めて高いリスクを引き受けるため、それに見合うだけの高い投資収益を求める。
投資の大部分は若い企業の倒産により完全に失われてしまうため、初期投資の10倍以上の収益が5年以内に得られる投資案件を探す傾向がある。
収益確定のための方法としては、株式公開や他社からの企業買収が挙げられる。

エンジェル投資家の多くは引退した起業家や経営者であり、純粋な経済的追求を超えた理由で投資を始めることが多い。
その理由としては、特定のビジネス領域における発展に乗り遅れないようにする、新しい世代の起業家群に対するメンタリング願望、自らの経験や人的ネットワークを有効活用したい、などが挙げられる。
従って、純粋な資金供給に留まらず、経営面での貴重な助言や有力者の紹介などで企業を助けることもある。
ベンチャーリサーチセンターによると、2006年現在、米国には234,000人のエンジェル投資家が存在する。



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