町工場を守らなきゃ日本の製造業は危ない

 岡野 雅行

 日本は資源のない島国だ。でも、この国には人と技術という資源がある。

 かつて日本人は勤勉、礼節、謙譲といった美徳を持っていた。勤労が尊いこととされ、町工場の職人たちもこつこつと腕を磨き、創意と工夫で他国では真似のできない製品をこしらえていたんだ。

 日本の製造業は素材を輸入して、世界トップクラスの技術とアイデアで製品をつくり、世界に送り出した。製造業は日本の国の根幹であり、それを支えていたのが町工場なんだ。

 町工場は、いわば日本の油田だよ。もし、町工場がなくなり、技術が途絶えたら、産油国にとって油田が枯れるようなものだ。そうなったら日本が立ち行かなくなるのは目に見えている。普通に考えれば、当然、国は町工場をおろそかにはできないわけなんだが。

 現在、日本の下町の町工場の多くが廃業に追い込まれようとしている。だけど、国は対策を打つわけでもなく、町工場を支援しようとはしていない。今度の参議院選挙でも、「町工場を救いましょう、世界一の技術立国を復興させよう」って政策を掲げた政党は見当たらないしね。

 農業政策、公共事業には金がバラまかれている。しかし、それで景気が良くならないのは、過去20年で実証済みだ。

 どうして政治家は「町工場を救いましょう、世界一の技術立国を復興させよう」って言わないのか? おれには不思議でしょうがないんだよ。

日本の製造業が簡単なものしかつくれなくなる
 デフレで物が売れないから、町工場の仕事が減る。中国製との価格競争で、どんどん儲からなくなっていく。儲からないから従業員を雇えない。息子も工場の後を継がないから、後継者がいなくなる。

 町工場の多くが、こういった負のスパイラルの中に放り込まれて廃業に追い込まれている。こうした流れが、東京の墨田区、葛飾区、大田区辺りだけではなく、全国的に起きている。

 町工場が1つ消滅すれば、貴重な技術が1つ消滅することになる。それが、10社、100社、1000社と店じまいをするようになったら、その数だけ日本から技術がなくなることになるんだな。

 技術というのは知恵と工夫と忍耐の結晶だ。10年やそこらでできるものではない。もし、職人の技が途絶えたら、再び、それを取り戻すには莫大な歳月がかかるんだ。

 これが国にとっては重大な損失であり、技術立国日本の根幹を揺るがす危機だって真剣に考えている政治家が果たして何人いるのかねえ。これでは国を危うくするよ。

 世界のトップクラスだった日本の製造業は現実に今、後退し始めているんだよ。太陽電池やリチウムイオン電池の開発競争でも、いつしか日本は韓国や中国といったライバルに後れを取っている。

 日本の産業を支えていた、すごい技術を持った人たちがほとんどが引退したり、すでに亡くなったりして、職人の数も昭和の最盛期に比べて激減しているんだ。

 職人の数が減った上に、腕も落ちた。今の若い職人は、昔の職人が当たり前にできたことが、できなくなってしまった。

 難しい技術を教える人がいなくなると、簡単なものしかつくることができなくなる。だが、簡単なものは発展途上国でもつくることができる。すると、途上国と同じように安さで対抗しなければならないから、自ずと日本の人件費が下がる。そうなると日本の製造業は技術も所得も、発展途上国と肩を並べるようになるんだ。

 技術の低下、技術の空洞化は、すでに起きているが、この現実を声高に警鐘する人って、何人いるのかね。

 普天間や子ども手当より大事なことが国会では議論されていないんだ。そういえば、「なぜ、一番じゃなきゃダメなんですか」って言った大臣がいるけど、日本が技術で食っていかなければならないっていうことが、まるで分かっていないんだよな。

中小企業に雇用を生む政策を
 もし、おれが総理大臣だったら、子ども手当とか農業政策にあてる資金を町工場のために使いたいね。

 町工場っていうのは自分の家を工場にしているところで、長屋工場のことだ。小さな町工場は大企業と違って、情報が入ってきにくい。だから役所が世界の情報を集めたり、日本の町工場の技術を世界に売り込んだりして、資金と情報の両方を提供して、ものづくり産業にもう一度息を吹き返させるんだ。

 GDPの中で製造業の占める割合は15%くらいだけど、ものづくりの裾野はもっと広い。ものづくりは工場の従業員の雇用だけでなく、大学の研究機関や運送、飲食、印刷など生活関連のすべてにリンクしているから、ものづくりの復興で周辺の経済が活性化するんだ。

 また、例えば法人税を減額させる代わりに、従業員を多く雇用させるような政策を促進すれば失業も減るだろうし、雇用が安定すれば社会に安心感が広がる。

 中小企業で30人の従業員がいるところは、従業員以外の家族を含めると、だいたい100から120人を養っているということになる。だから、減税によってさらに5人雇用すれば、さらに家族を含めると15人から20人の生活が保証され、消費も生まれる。

 製造業を立て直し、日本が世界で稼げる体制を構築する。それが実現すれば、所得も増える。借金をしてツケを将来に回す政策や、増税で財政を安定させることよりも、雇用が最大の景気対策なんじゃないのかね?

 もし、おれが首相だったら、世界で100年間はダントツでいられるような「ものづくり国家」の復興を目指すよ。働くことに誇りを持ち、働くことに夢と希望を与えるような国にしてみせるんだがね。

 最近は中国や韓国にやられっぱなしだけど、昭和の頃のような「真面目に働けば夢がかなえられる」といった社会の風潮をもう一度取り戻さないとな

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3908

(以上、JBPRESSより)

これは私も全く同感です。

航空機エンジン整備一つとってみても、若手エンジニアが或る部品を「測定機」を駆使して測定した結果と日本人の年配の職人さんが手の感覚のみで得た結果とピタリ一致した時には驚嘆しました。

もう、こうなると単に「ハイ・スキル」ではなく「神業」です。

何とかしてこう言った素晴らしい技術を日本の若手に伝承していって頂きたいものだと思います。



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